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<感染性胃腸炎>

感染性胃腸炎が大変流行っています。

新聞やテレビなどのメディアでは「ノロウィルス大流行」などと報道されがちですが、感染性胃腸炎の原因はノロウィルスだけではありません。乳児期にはロタウィルスが有名ですし、その他に小型球形ウィルス(SRSV)と呼ばれるものや、アデノウィルスによるものなど多種多様なウィルスが原因となります。多くはウィルス性ですが、細菌感染によるものや寄生虫感染によるものも感染性胃腸炎の中に入ります。

今回はウィルス性胃腸炎について書きます。

例年初冬から増加し始め、12月に一度ピークが来ます。原因となる病原体、感染様式、罹った方の状態などで少し異なりますが、症状は発熱、下痢、吐き気、嘔吐、腹痛などがみられ、症状だけから原因を確定することは困難です。病原体を確定するには、便からのウィルス分離、抗原検出、血清抗体を測定することが有りますが、現実的ではありません。

ノロウィルスの抗原検査は3歳未満、もしくは65歳以上の方以外は保険適応になりません。自費での検査になります。この検査はノロウィルスに感染していても陰性に出ることもあり、ノロウィルスに感染していないことを確かめることが出来ません。

ウィルス性胃腸炎には特効薬がありません。通常対症療法(症状に合わせた治療)が行われます。特に、体力の弱い幼児、高齢者は、脱水症状を起こしたり、体力を消耗したりしないように、水分と栄養の補給を充分にしましょう。脱水症状がひどい場合には点滴などをおこなうこともあります。

吐物、排せつ物の中にはウィルスが含まれていますので、止瀉薬(いわゆる下痢止め)は病気の回復を遅らせることが有るので、使用しません。

感染拡大を予防するためには、吐物、排せつ物を適切に処理し、排泄後、食事前には流水で充分手を洗うこと、患者さんと濃厚な接触を避けることが大事です。

皆さん、感染予防をして、健康第一で過ごしましょう。