トップ > 院長のひとりごと > <アレルギーの原因検索のための血液検査>

<アレルギーの原因検索のための血液検査>

アレルギーの原因を知りたい方がたくさんいらっしゃいます。実際には原因を確定するのはなかなか大変です。アレルギー反応は、何らかの原因となるものに接触した時に様々な反応が起こります。どのような時にどのような症状が出やすいのか記録をつけることをお勧めします。何度か同じ反応が出た時に記録を見比べてみて頂くと何か見えてくることが有ります。

医療機関で原因を検索するために行う検査には、誘発試験、食物負荷試験、皮膚試験、吸入試験、血液検査などが有ります。

当院では原則血液検査のみ施行させて頂いております。血液検査での原因抗原検索としては血清特異的Ig(免疫グロブリン)E抗体の検査をおこないます。血清IgE検査はある特定の原因が疑われる物質に対して、自分の体の中に抗体(反応する物質)があるかどうかを調べる検査です。

血清IgE値を測定する方法には何種類かあります。その中でも酵素を使用した蛍光酵素免疫測定法であるImmunoCAP法や、アラスタット3g法が精度の高い検査法です。現在ImmunoCAP法やアラスタット3g法では200種類近くの抗体検査が可能ですが、実際の臨床の場では保険による規制のため、検査できる数が制限されます。疑わしいものを選択して検査することになりますので、今までの経過や記録などが大変参考になります

一度に多項目の抗原に対して同時に抗体を測定できる方法が、MAST33(10月からは36項目に増えます)や、View39と言われる検査法です。これらの検査法で出た結果は絶対値として評価出来ず、その人のアレルギーの経過を見ることが出来ないと言われています。また、ImmunoCAP法と比較したときに、本当は抗体を持っているのに陰性に出てしまったり(偽陰性)、本当は持っていないのに陽性に出たりする(疑陽性)ことが有ると報告されています。スクリーニング検査として一度にたくさんの項目を検査したい時には簡便な方法ですが、それをもとに治療の要否や開始、中断を決めるためには信頼度に欠ける方法です。

当院では原因を追究したい方にはある程度対象を絞って、一番信頼のおけるImmunoCAP法をお勧めしております。特に食物アレルギーの場合には命にかかわることもありますので、疑陽性、偽陰性の可能性はなるべく減らしたいと考えております。検査をご希望の方は受診時にご相談ください。