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<咳の原因について>

昨年2月6日付のひとりごとで「咳」について書きました。その中では特に咳喘息について触れました。

今回はその他の咳の原因となる疾患について書きたいと思います。

日本呼吸器学会の「咳嗽に関するガイドライン」では咳が続く期間で急性咳嗽、遷延性咳嗽、慢性咳嗽と分けて考えています。

咳嗽の原因として最も多いのは感染によるものです。感染性咳嗽はウィルスなどの微生物によって引き起こされる炎症症状です。症状としての炎症反応は、原因となった微生物が検出されなくなった後も持続するため、咳をはじめとする症状が続くことがあります。ただし、結核などの慢性感染症や併存する他の呼吸器疾患が無ければ、8週間以上持続することは稀です。

急性咳嗽の原因の中には百日咳やマイコプラズマなども含まれますので、その流行時期や症状を注意深く観察し、胸部レントゲンなどの検査を追加する必要もあります。鑑別診断のためには問診が重要です。感染症に対して早期から適切な治療がされれば、咳は長期に持続しなくて済みます。

感染性咳嗽と診断され、適切な治療がなされた場合でも8週間以上咳が続く場合もあります。明らかな副鼻腔炎、その他器質的な肺の病変が無い場合は咳止めで様子を見ることがあります。加えて、感染では無い可能性も念頭に入れて慎重に診断を行う必要があります。

非感染性の咳嗽の中の一つが喘息(咳喘息)です(詳細は2015年2月6日付のひとりごとを)。それ以外にも逆流性食道炎、慢性気管支炎、耳鼻科疾患(副鼻腔炎、喉頭アレルギー、後鼻漏、など)、誤嚥や、中には肺がんなどの悪性疾患も疑われます。

安易に咳止めや吸入薬だけで経過を見るのではなく、あまりにも良くならず長引く咳の時には胸部レントゲン撮影、血液検査、肺機能検査、耳鼻科的な検査を施行する必要がありますので、是非受診してください。