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<インフルエンザの診断と治療>

2週間くらい前から高熱を訴える患者さんが増えてきています。特に今週は検査でA型インフルエンザが陽性となる患者さんが多くなっています。

 

インフルエンザは潜伏期が1~3日くらいあり、その後ウィルスの増加とともに発熱、全身倦怠感、悪寒、関節痛、筋肉痛などの全身症状が出ます。

インフルエンザウィルスは症状が出てから48時間程度で最多となり、その後患者さんご自身の免疫力でウィルスに対抗することにより数が減り、3~5日程度で良くなります。

現在投与できるすべての抗インフルエンザ薬はインフルエンザウィルスを殺してしまうことが出来ません。ウィルスが増殖する部分を抑えるお薬ですので、これ以上ウィルスを増やさないようにするお薬です。ですから、症状が出てから48時間以上たってしまうと薬を使っても使わなくても良くなる速さに変わりがないと言われています。ウィルスが少ない時に使用したほうが、効果が実感できると思います。そのためには早くインフルエンザにかかっているという診断をし、早く使用することが大事です。

 

近年インフルエンザの確定診断にキットを使った抗原迅速検査が使われます。一般に使用している抗原迅速検査キットはある程度ウィルスが増えてからでないと陽性となりませんので、発症後12時間以上たってから受診してくださいというクリニックさんもあります。あまり早く受診すると、明日もう一度検査してから治療しましょう、などというクリニックさんもあるようです。

しかし、早く診断し、早く治療したほうが、早く良くなります。

当院では(テレビコマーシャルでもやっていますが)インフルエンザウィルスに大きなマーカーをつけて、ウィルス量が少ない時間帯でも陽性になる機械で検査をしています。発症後3時間程度で診断できる方もいらっしゃいますので、早めに受診されることをお勧めします。

 

抗インフルエンザ薬はインフルエンザウィルスを殺しませんので、使ってもすぐに治療効果が出ません。使用後ウィルス量が減るまでは発熱などの症状が続きます。

インフルエンザの熱はどうしたらよいのでしょう。インフルエンザの場合、解熱剤の種類によってはけいれん、意識障害などを発症する「インフルエンザ脳症」や「インフルエンザ脳炎」、脳や肝機能障害をきたす「ライ症候群」などの重病を招くことが有ります。特に小児へはアスピリンなどの解熱剤の使用は禁じられています。大人にも影響があるので当院では解熱剤は処方しません。その中で比較的安心と言われているのがアセトアミノフェン(カロナール、アンヒバなど)ですが、副作用が無いわけではありませんので、なるべくなら使用しないことをお勧めします。