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医薬品の不足、出荷停止に困惑

だいぶ前からいろいろな薬が品薄になっています

薬局によっては納品が滞っているところも有り、問い合わせがしょっちゅう来ます

原因の一つは、ジェネリック医薬品メーカーの品質不正問題でした

製造手順を守っていなかったり、他の医薬品の成分が混ざっていたり、複数の会社で不正が認められました

先発メーカーはジェネリック医薬品が普及すると自社の医薬品が売れなくなるため、製造量を減らします

増産を求められても、急に供給量を増やすことは出来ません

特に長期展望に立って採算が取れないとわかっている薬は増産しません

それに加えて、様々な経費の増加などから、会社の経営もスリム化する必要が出ているのかもしれません

数年前からは供給量を減らしているためか「限定出荷」や「供給停止」の医薬品は増える一方です

その中で、呼吸器内科として対応に不安を抱く医薬品が二つ有ります

ひとつは「アズマネックス®(オルガノン株式会社)」という気管支喘息に使用する吸入薬です

2025年10月に「諸般の事情により」製造、販売中止とするとの連絡が有りました

吸入薬は患者さんとの相性(使い勝手や、吸入した時のし易さなど)が有り、当院では多くの患者さんに処方させて頂いております

しかし、製造中止となった場合他の医薬品への変更が必要となり、それをきっかけに気管支喘息のコントロールが悪くなることも有ります

もう一つは「テオドール®(田辺三菱製薬)」というやはり気管支喘息などに投与する徐放性気管支拡張薬です

供給が困難となったため2026年12月には在庫が消尽するとの連絡が有りました

徐放性気管支拡張薬は他社、ジェネリックメーカーから種々の医薬品が出ていますが、血中濃度の上がり方、安定性など、テオドールと同等のものは有りません

投薬出来なくなった場合様々な不具合が起こる可能性が有ります

呼吸器学会からメーカーに対して販売継続を要望していますが、どのようになるのでしょう

 

これからの医療は、選択肢が減っていきますので、これまでうまくいっていた治療も出来なくなるのでしょうか