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<世界禁煙デー2017>

毎年5月31日は国際デーの一つである世界禁煙デーです。

WHO(世界保健機関)の今年のテーマは「Tobacco – a threat to development タバコー成長の妨害者」です。経済などの発展を妨げる可能性があるということでしょう。

日本では5月31日からの1週間を禁煙週間と定めています。今年の厚生労働省のテーマは受動喫煙による健康への悪影響から人々を守ることを目的として「2020年、受動喫煙のない社会を目指して~たばこの煙から子ども達をまもろう~」です。啓発ポスターには女子レスリングの吉田沙保里選手を起用しています。「2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針」において、受動喫煙防止対策の強化が明記され、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会関係府省庁連絡会議の下に、受動喫煙防止対策強化検討チームを立ち上げ、検討を進めています。その中で飲食店などでの全面禁煙を法制化するよう勧められていますが、報道などを見ると、国会議員の先生方の中にはそれを強く反対されている方が多数見受けられます。国会議員さんたちの中には愛煙家の方がたくさんいらっしゃいますし、タバコに関係している産業から支援を受けている議員さんもいらっしゃいますので、利害関係にあたる人達が国際社会で当たり前の法律を作るのは難しいのでしょう。厚生労働省も譲歩せざるを得なくなってきており、おそらく骨抜きの法律になるのでしょう。

居酒屋などを全面禁煙にすると、本当にお客さんは減るのでしょうか。

現在、電車も飛行機も、公共施設も映画館もほとんど禁煙ですが、それでお客さんが減っているということは聞いたことが有りません。レストランも禁煙席から埋まってしまい、いつでも喫煙席に余裕があります。ホテルなどは禁煙室から埋まってしまい、最終的に喫煙室しか空いていないことがほとんどです。レンタカーでさえ禁煙車から予約が埋まっています。

実際に、ワイン専門店、スコッチ専門店などの飲食店で禁煙のお店もありますが、いつもお客さんがいっぱいです。焼き鳥屋、居酒屋、ラーメン屋などが全面禁煙になったら、喫煙される方は外での飲食はやめて、皆さん自宅に帰られるのでしょうか。それはそれでいいことなのかもしれませんが、とてもそうは思えません。皆さんはどうお考えですか。

現在日本人の喫煙率は30%程度と言われています。数で物事を決めるのであれば、多数派である喫煙しない人の方のことを優先に考えてほしいと思います。

働いている方々の健康被害も深刻です。喫煙は個人の嗜好の問題ですが、他人の健康に害を及ぼすことが明らか(さまざま反論はあるでしょうが、それを証明する論文は多々あります)である以上不特定多数が集まる場所では控える必要があるのではないでしょうか。

愛煙家の方も言いたいことがたくさんあるかと思いますが、呼吸器内科医の立場としてはご自身の健康のことを考えてもタバコをやめる、控える努力を皆さんも頑張って頂きたいと思います。